総合保険代理店 株式会社 サイラタウン
サイトマッププライバシーポリシー
サイラタウン ファーストクラスのあんしん届けます
会社案内 店舗紹介 生命保険の仕組み 保険入門 生命保険保障の見直し 保険のQ&A
経営者の皆様へ ご契約者の皆様へ 業務提携募集 町の情報.com イベント 求人情報
HOME > Spirit Soul ホームへ戻る
 
 
アンチ即戦力 2006/01/20(金)
信頼する樫村さんの日記よりもってきちゃいました
そうだって!おもったので「企業や社会が求める人材育成を
強化する大学が増えている」
と毎日新聞が報じていた。
「終身雇用が崩れ、転職に有利な
資格を求める学生と、新入社員を
ゼロから育てる余力のない企業の双方が、
偏差値よりも大学の人材育成の
内容自体に関心を寄せ始めている」

そのために、大学はカリキュラムを
「即戦力形成」にシフトし、
その一方で経営陣にビジネスマンを
引き込んで会社経営のノウハウを
淘汰期を迎える大学に導入しようとしている。

大阪経済大学の前理事長
(井阪健一・元野村証券副社長)
はこう言い切る。
「大学は産業社会の要求に
あまりに無頓着だった。
学生の付加価値を高め企業へ
送り出すのが使命だ」

おそらくこういう物言いが
経営危機に怯える大学の中で
これから幅を利かせてゆくように
なるのであろう。だが、私には
あまり賢い考え方のようには思われない。

私はもともと「キャリアデザイン」
とか「キャリアパス」という
考え方を好まない。

平川君の名言を引くならば、
「資格や肩書きがものを言うと
思っている人間」の前には
「資格や肩書きがものを言うと
思っている人間たちだけで
構成されている社会」への扉しか
開かないし、「金で買えないものはない」
と思っている人間は
「金で買えるものだけ」しか存在しない
社会の住人になる他ない。

しかし、愛も敬意も知己も知性も
胆力も感受性も師も・・・
総じて私たちの生活のもっとも根幹を
なすリソースのうち、威信や財貨
によっても購うことの
できるものは一つもない。

そもそも「即戦力」形成という発想が
ナンセンスであるということは
玄田有史さんが『働く過剰』(NTT出版)
でつよく主張している。

「しかし、いったいだれが、
グローバル化社会のなかでの
人材戦略とは、即戦力人材の
活用であると言い出したのだろうか?」

業績優良企業の人材戦略は
「即戦力人材」とまったく逆である。

「企業競争力を決定するのは、
結局のところ、人材であり、
そのための教育にある(・・・)逆に、
業績の悪化した企業にかぎって、
最初に削減するのが教育であり、
人材としては即戦力を謳うようになる。

即戦力志向とは、つまるところ、
育成軽視の別表現にすぎない。」

即戦力とは言い換えれば
「金を出せば買える人材」のことである。

それは「どこの会社でも汎用性のあるスキル」
であり、どこの会社でも同じような
パフォーマンスを発揮できる
人間ということである。

そのような人材をどれほど集めても、
他社との差別化は果たせない。

だって、そんなものは
「金を出せばいくらでも買える」んだから。

「わが社のことを最も熟知し、
会社と個人のあいだで
強い信頼関係を形成している、
わが社にしかいないような人材を、
自前で育成することでしか、
本当の意味での差別化は不可能なのである。
したがって、最終的には、
即戦力の調達だけでは限界があり、
人材の育成を重視する企業だけが、
ビジネス上、優位に立てるのだという、
当たり前の結論に到達することになる。」

私自身のささやかなビジネス体験も
玄田さんの意見を裏づけている。

平川君と私が始めた翻訳会社は
急成長の過程で「即戦力」人材と
「ゼロから育てる人材」を両方採用した。

別に確たる人材戦略が
あったわけではなく、
「入れてください」と頼まれると
断れない平川社長の温情のせいで
行き当たりばったり的な
人事が行われたのである。

だが、十年ほど経ってみると、
会社の中核をなしていたのは
すべて「ゼロから育てた」
若者たちであった。

「即戦力」のみなさんはみんな
どこかへ消えてしまっていた。

会社が見切りをつけられたのか、
会社に見切りをつけられたのか、
どちらかであるかはわからない。

だが、限定的なプロジェクトのために
アドホックに採用された「即戦力」の
多くがその後「はなはだ使い勝手が悪い」
社員になったことは間違いない。

「私はこんな仕事のために
雇われたんじゃありません!」
というようなことを
彼らは口を尖らしてよく言っていた。

だけど会社というのは
ジョブ・デスクリプションにはない
「こんな仕事」や「あんな仕事」が
どんどん発生してくる現場である。

「即戦力」のみなさんは
「自分に相応しくクリエイティヴな仕事」
だけをやりたがり「雪かき仕事」を厭がった。

でも、会社の仕事の90%は
「雪かき仕事」である。

誰もやりたがらないけれど、
誰かがやらないとみんなが困るタイプの仕事。
そういう仕事がいつのまにか
片づいている職場と、業務命令しても
みんなが厭がっていつまでも
片づかない職場では、短期的に
パフォーマンスの差がはっきり現れる。

資格や能力があって、それを
「売り」にしている人間は
たいてい「雪かき」をしてくれない。

だから、そんな人間ばかりを
集めた場所はそれぞれの「オレの領分」
だけが片づいていて、それ以外の
「パブリックスペース」は
すべてゴミだらけになる。

どこだって事情は同じである。
人材育成のコストを切り捨てて
即戦力を求める企業とは
玄田さんを信じるなら、
「先のない企業」である。

そんなところに就職した諸君の前に
あまり明るい未来は開けないように
思われるのだが。だから、
今さらながらに「即戦力形成」
というようなことを口走っている
大学経営者こそ「産業社会の要求に
あまりに無頓着」なのではないかと私は思う。

大学経営にビジネスマンを
導入することについても、
私は手放しでは歓迎できない。

一定数のビジネスマンが
ビジネスマインデッドな助言を
してくれることは
ありがたいことであるけれど、
これらの人々に権限が集中することは
教育にとって危険だと思う。

管理部門が肥大化し、教授会の決定権が
狭められると、結果的に
「ビジネスマンの経営者が
『教育サービス』する従業員を頤使する」
かたちになる。だが、それはもう
言葉の厳密な意味での
「学校」とは言われない。

「師への欲望」が励起されない場所は、
どれほど建物が立派でも、
ITインフラが充実していても、
財務内容がゴージャスでも、
「学び」は起動しないからである。

だが「市場とは何か?」
「貨幣とは何か?」「交換とは何か?」
「欲望とは何か?」といった
根源的な問題を決して問わないことを
習慣づけられてきた凡庸なビジネスマンは
「学びとは何か?」といった
根源的な問いを自らに向けたりはしない。

そんな人間がこれから大学で
幅をきかせることになるだろうと
メディアは予言している。
困ったことに、悪いことについては
メディアの予言もときどき当たる。
file missing file missing
 
このページのトップへ
copyright (c) SAIRATOWN. all right reserved.
 
個別相談会 個別相談会予約